五時間目までの出来事


昼休みの終わりのチャイムが鳴ってみんなが教室に戻ってきました。今日の五時間目は選択だからそれなりに急いでいます。オレは社会の授業なので隣の2組に行こうとしました。くるっとまわり、教室を出ようとすると「ねえ浩次くん、一緒に行かない?」と、声が聞こえた。振り返ると、日下さんがいました。日下さんは、オレと同じで選択は社会です。オレは、しばらく迷って、でも「ああ、行こう。」と言いました。「そういえば望、テストどうだった?」教室を出ながら聞くと、「えっとねぇ・・・おっしえっませーんっ!」と、ベー、のポーズで言った。という感じの話を2組の中に入っても先生が来るまで日下さんと喋っていると、急にその内容に、8組の加井野君が入ってきました。どっちがテストの点数がという話題で、加井野君は「ダイジョーブだって、木戸の方が高いよ。」と言いました。木戸は僕の苗字です。オレたちは、結構小さい声で話していたので、オレは、よく聞こえたなぁとおもいました。オレは、加井野くんが日下さんのことを好きなのを知っていたので、話題に入れてあげようと思い(面白そうなので)、「いや、分からないよ。」と言うと、加井野くんが続けて、「いやいや、勝てるって。だって・・・」加井野くんが続けようとすると、日下さんが、「おまえとははなしてない!あたしは浩次くんと話してるの!」  いや・・・だから・・・加井野は・・・おまえが・・・  オレはどういったらいいか分かりませんでしたが、日下さんが続けたので、会話を続けました。「なあ望、なんで加井野にも普通に話そうとしないの?」と聞くと「だってあたしあの人嫌いだもん」と、率直に言いました。  加井野くんは、今もあきらめず日下さんに話し掛けて、この日みたいに言われているそうです。 


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